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03 Feb 2014 18:20

ライフ【中高生のための国民の憲法講座】第11講 百地章先生2013.9.14 08:19

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【中高生のための国民の憲法講座】
第11講 百地章先生

2013.9.14 08:19
日本国憲法の問題点がひとめでわかる『国民の憲法』(産経新聞出版、税込み1260円)が好評発売中

日本国憲法の問題点がひとめでわかる『国民の憲法』(産経新聞出版、税込み1260円)が好評発売中

 ■目の前の国家的危機に対処せよ

 平成23年3月11日、東日本大震災が発生し、私たちは大災害の恐ろしさを味わいました。家族を亡くし、財産を失い、寒さに凍えた被災者のもとに、容赦なく余震が見舞いました。それに追い打ちを掛けたのが原発事故でした。

 ライフラインが途切れ、物資は底を尽き、特に住民の安否確認と、食糧や燃料など物資の確保は難題でした。本来、司令塔となるはずの役所、役場まで壊滅してしまったのです。それにガレキで道が通れず、緊急車両を動かそうにもガソリン不足で燃料が足りない。そのため、助かるはずの多くの命が失われました。

 ◆立ちはだかる人権の壁

 このような大規模災害に備えるのが「災害対策基本法」という法律で、「災害緊急事態の布告」のほか、生活必需物資の統制や価格統制を行うための「緊急政令」なども認められています。ところが政府は、この布告を出さず、緊急政令も制定しませんでした。

 緊急政令は国会の閉会中に限られますから、これはやむを得なかったかもしれません。しかし、政府が物資の統制や価格統制に躊躇(ちゅうちょ)した本当の理由は、憲法で保障された人権を安易に制限するわけにはいかない、というものでした。

 この「人権の壁」がさまざまな混乱を引き起こしました。例えば、ガレキを取り除こうとしても、これは個人の所有物で財産です。憲法は財産権を不可侵としており、所有者を探し出したうえでその了解を得なければ勝手に処分などできない、というわけです。燃料はじめ物資の調達も同じでした。買い占めを防ぎ、公共車両の移動を優先させ人命を守るためにも、私権制限はやむを得ません。

 が、私権制限と聞くと、すぐに「人権侵害だ!」と騒ぐ人がいます。政治家やメディアにも同じような人々がいますが、もしもっと大災害が発生した場合、本当に大丈夫でしょうか。

 ◆国家存亡という重い警告

 昨年7月、中央防災会議の作業部会が、「首都直下地震は国家の存亡に関わるものであり、その対策は喫緊の課題である」旨の中間報告を発表しました。「国家の存亡に関わる」との警告は、尋常なことではありません。しかも、それが国の最も権威ある機関から発せられたのです。

 それに加えて、東京直下型地震の起きる確率を、過去の統計から「今後8年以内に100%」とした予測もあります。無論、あくまで予測ですが、近い将来の大地震に備える必要があることは間違いなく、もはや一刻の猶予も許されないと考えるべきでしょう。

 本講座で、憲法とは緊急時こそ真価が問われるといいました。諸外国ではほとんどの国で憲法に緊急権を定めています。危機の克服のため、いったん権力を政府に集中し、国民の権利や自由を一時的に制限できるようにするわけです。

 「国民の憲法」もそういう考えに立って、外国からの武力攻撃、内乱、テロ、あるいは大規模自然災害などの危機に対処する章を設けています。

                  

【プロフィル】百地章

 ももち・あきら 京都大学大学院法学研究科修士課程修了。愛媛大学教授を経て現在、日本大学法学部教授。国士舘大学大学院客員教授。専門は憲法学。法学博士。産経新聞「国民の憲法」起草委員。著書に『憲法の常識 常識の憲法』『憲法と日本の再生』『「人権擁護法」と言論の危機』『外国人参政権問題Q&A』など。66歳。

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人権が栄えて国が滅んでしまうのでは困ります。そもそも、国がちゃんとしているからこそ人権が守られるのです(イラスト 今泉有美子)

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