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06 Oct 2014 10:38

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【中高生のための国民の憲法講座】第61講 百地章先生 自治基本条例と外国人参政権

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【中高生のための国民の憲法講座】
第61講 百地章先生 自治基本条例と外国人参政権

住民投票と外国人参政権の問題について考えてみましょう

 現在、全国各地で「自治基本条例」という危険な条例が制定されています。外国人に住民投票権を認めたものも少なくありませんが、これは名を変えた外国人参政権条例です。

 ◆外国人に住民投票権?

 典型的な例として、神奈川県大和市の自治基本条例を見てみましょう。

 それによれば、本条例は「市が定める最高規範」とされ(2条)、市長は「この条例を遵守(じゅんしゅ)」しなければなりません(15条)。また市長は「市政に係る重要事項について…住民投票を実施すること」ができます(30条1項)。この住民投票権を有するのは「本市に住所を有する年齢満16年以上の者」(31条5項)となっていますから、外国人も投票に参加できます。

 投票年齢をはじめ住民投票制度にはさまざまな問題がありますが、ここでは外国人の参加について考えてみます。

 ◆違憲の疑い、市政に影響

 外国人には保障されない権利の代表が「入国の自由」「参政権」それに「社会権」です(57講)。参政権には選挙権や公務員就任権などが含まれますが、保障されないのはいずれも国家の存立を前提とし、国家の構成員のみに保障された権利だからです。

 だから憲法でも選挙権を「国民固有の権利」(15条1項)つまり、国民のみが有する権利と定めています。最高裁も、この権利は「権利の性質上日本国民のみをその対象とし、…我が国に在留する外国人には及ばない」と明言しています(平成7年2月28日)。

 また同判決は、「憲法93条にいう『住民』とは地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味する」と述べていますから、地方自治体の首長や議員の選挙であっても参画できるのは「日本国民たる住民」だけです。

 さらに地方自治法上も、自治体の構成員である「住民」(10条1項)の中には外国人が含まれますが、選挙権、条例の制定改廃、事務監査請求権、議会の解散、首長・議員の解職請求および住民投票権を行使できるのは「日本国民たる住民」だけです(11~13条)。

 それ故、参政権の一種である「住民投票権」を外国人に付与するのは憲法違反の疑いがあります。また条例は「法律の範囲内」で制定されなければなりませんから(憲法94条)、外国人にまで住民投票権を付与するのは地方自治法に違反する可能性もあります。

 さらに最高裁判決によれば、外国人には「わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす」ような政治活動は認められません(昭和53年10月4日、マクリーン事件)。

 ところが条例は外国人に住民投票権まで与えています。しかも市議会や市長は「住民投票の結果を尊重」しなければなりませんから(30条2項)、法的拘束力はなくても、投票結果は市政に重大な影響を及ぼします。となるとこの判決に照らしても疑問でしょう。

 このような違憲の疑いの強い条例によって外国人が地方政治に影響を与え、ひいては自衛隊や米軍基地問題等、国政まで左右しかねないのは極めて問題ではないでしょうか。

                   ◇

【プロフィル】百地章

 ももち・あきら 京都大学大学院法学研究科修士課程修了。愛媛大学教授を経て現在、日本大学法学部教授。国士舘大学大学院客員教授。専門は憲法学。法学博士。比較憲法学会副理事長。産経新聞「国民の憲法」起草委員。著書に『憲法の常識 常識の憲法』『憲法と日本の再生』『外国人の参政権問題Q&A』など。67歳。

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