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03 Feb 2014 18:48

ライフ【中高生のための国民の憲法講座】第16講  護憲論者の「八月革命説」とは 長尾一紘先生2013.10.19 07:56

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【中高生のための国民の憲法講座】
第16講  護憲論者の「八月革命説」とは 長尾一紘先生

2013.10.19 07:56 世論調査・アンケート
憲法制定の事情をありのままに見る必要があります

憲法制定の事情をありのままに見る必要があります

 ◆2つの憲法観

 このところ憲法改正をめぐる論議が盛んになっています。世論調査の傾向をみても憲法改正を支持する見解が増えつつあるようです。

 改憲論議が活発になった要因の一つとして、尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐり中国側の領海侵犯などがエスカレートしている問題をあげることができます。日本の安全保障の状況は一段と厳しいものになっています。

 日本国憲法には、国防に関する規定がありません。世界の憲法に照らしても例をみることのできない、このような特異性は、憲法制定の歴史的な事情によるものです。

 日本国憲法の原案は、GHQ(連合国軍総司令部)が作成したものです。そして、ほとんどそのままの形で成文化されています。日本側に、これに対する反対意見を述べる自由はまったく否定されていました。日本国憲法に国防の規定がないのは、当時におけるGHQの日本弱体化政策によるものです。日本国憲法は、まさしく「メイドインUSA憲法」です。

 「改憲」の声の高まりとともに「護憲」の動きも活発なものになってきました。「護憲」の論者のほとんどは、いわゆる「八月革命説」に立脚しています。八月革命説においては、日本国憲法は、占領軍によってではなく、日本国民の自由意思によって制定されたものとされます。

 ◆八月革命説の問題点

 八月革命の論者は、つぎのように主張します。

 昭和20年8月14日、日本政府はポツダム宣言を受諾した。ポツダム宣言には、「日本国民の自由な意思にしたがって平和主義的な政府が樹立されたとき、占領軍は撤収する」との条項が含まれている。日本政府がこの条項を認めたということは、「天皇主権」を放棄して、「国民主権」を受け入れたということを意味する。これは「革命」以外のなにものでもない。日本国憲法は、この「革命」によって新たに主権者となった国民によって制定されたものだ。

 この八月革命説には、多くの問題点が含まれていますが、ここではそのうちの2点を示すことにします。

 第1に、八月革命説においては、占領軍が憲法を作成し強制したという事実がまったく隠蔽(いんぺい)されています。そして、あたかも日本国民がその自由意思にしたがって憲法を制定したかのように説明がなされています。

 第2に、国際法の一般原則は、軍事占領下における憲法の変更を禁止しています。日本国憲法の制定はこの国際法の原則に違反するものです。八月革命説がこの事実に触れることはありません。

 現在の日本は、安全保障の面において大きな困難に直面しています。これに対応するためには、憲法制定の事情をありのままに見る必要があります。八月革命説によって作り出された、歪められた憲法観を見直すことが必要とされているのです。

                   ◇

【プロフィル】長尾一紘

 ながお・かずひろ 中央大学法学部卒業。東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了。中央大学教授を経て、現在、名誉教授。著書に『外国人の参政権』『基本権解釈と利益衡量の法理』『日本国憲法・第4版』など。近刊予定として、『外国人の選挙権 ドイツの経験・日本の課題』。71歳。

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