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31 Oct 2013 08:17
東京新聞:糖尿病 早期発見へ 患者と病院 薬局が橋渡し:暮らし(TOKYO Web)
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【暮らし】

糖尿病 早期発見へ 患者と病院 薬局が橋渡し

血液中のHbA1cを調べる試薬を手にする長井彰子さん=東京都足立区の「あやせ薬局」で

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 悪化するまで自覚症状がない糖尿病の早期発見につなげようと、筑波大などが薬局を活用したユニークな社会実験を続けている。店頭で指先から自己採血し血糖を測定、高い値が出たら医療機関への受診を薬局が勧める方式。これまでに二千五百人余りから三割近い「糖尿病予備軍」以上の人を見つけた。研究代表の矢作直也・筑波大准教授は「重症化予防に有効な方策になる。普及への環境を整えたい」と話している。

▽四分の三が未治療

 厚生労働省の推計によれば、国内の糖尿病患者は二〇一〇年時点で一千八十万人に上る。だが、継続的に受診しているのは約二百七十万人(一一年患者調査)。大まかに患者の四人に三人が未治療ということになる。一方、糖尿病は放置すると腎臓や神経などに深刻な合併症を引き起こし、人工透析の主要な原因にもなる。

 毎日たくさんの糖尿病患者の診療に当たりながら、「悪くなる前に、治療や医師による生活指導に結び付ける道はないか」と考え続けていた矢作さん。指先に針を刺して採るごく微量の血液で、血糖の検査が約六分でできる装置が〇九年ごろ登場した際、「これなら自己採血で使える」と注目した。さらに、検査しっ放しでなく医療機関につなぐ役割を果たすことができ、病気でない人も気軽に出入りできる場所は−と検討を進め、薬局の活用を考えついた。

▽アクセス革命

 プロジェクトを「糖尿病診断アクセス革命」と名付け、一〇年十月に東京都足立区でスタート。十薬局が参加した。同区は糖尿病を減らそうと、地元医師会と薬剤師会、区民が協力して対策に取り組んできた実績があった。共同研究する徳島文理大の働き掛けで昨年から徳島県内の十薬局も加わり、今年六月までに測定を受けた人は計二千五百十四人に達した。

 測定するのは「HbA1c」という数値。血液中のヘモグロビンにくっついた糖分の量を見るもので、過去一〜二カ月の平均血糖値を反映する。測定の結果、「糖尿病が強く疑われる」とされるHbA1c六・五以上の人が12%、「予備軍」とされる六・〇〜六・四の人は16%で、計28%の七百十一人に医療機関を紹介した。矢作さんは「健診で捕捉できる予備軍以上の人はせいぜい20%ではないか。私たちの方法は非常に効率良くキャッチできる」と強調する。

 一店舗で約五百人を測定した「あやせ薬局」(東京都足立区)管理薬剤師の長井彰子さんは「地域の健康向上に貢献できる意義を感じる。測定をきっかけに、うちをかかりつけ薬局にしてくれた人もいる」と話す。約三年続けてみて、「血糖値を調べてみたい」というニーズは年齢や性別に関係なく存在すること、受診の勧めはかなりの確率で受け入れてもらえることも分かったという。

◆課題はシステム化

 良いことずくめのようだが、この社会実験を継続的な事業にするには幾つか課題もある。

 まず薬局で血液検査ができるかという問題。臨床検査技師法によると、通常の血液検査は都道府県に登録した衛生検査所で行うことになっている。微量の自己採血による検査はこれに当たるのか。矢作さんらは今年三月、内閣府の規制改革ホットラインに規制緩和を要請。厚労省は「前向きに検討中」(医政局指導課)としている。

 医師会と薬剤師会の綿密な連携も必要だし、費用を誰が持つかも要検討だ。装置は約四十万円でメンテナンスはほぼ不要。測定用試薬は一人当たり五百円弱という。「自己負担も一つの選択肢だが、自治体の健診に役立てる余地は十分にある」と矢作さんは話す。

  (共同・吉本明美)

 

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