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18 Dec 2014 13:54
3.横浜市がおかしい


市長は敵前逃亡?!

 昨年(2009)8月、衆議院選挙を目前にして中田宏横浜市長が突然辞任した。中田市長は市民が納得できる辞任理由をなにひとつ説明しないままいなくなった。巷間ではかねてより話題になっている女性へのわいせつ容疑などのスキャンダルか、これも何度も報道された好からぬ世界の人物との交際と便宜供与などの疑惑、そして開港150周年記念の〈開港博Y150〉の大失敗。特に9月に閉幕する開港博Y150の大失敗の追求からいち早く逃げ出したのではと言われた。
 TVニュースに登場した中田市長の悪相に多くの市民は驚いた。その人となりは顔に出る、それを地でいくような悪人面の市長の辞任会見をみて横浜市民に限らず、多くの人は横浜はおかしいと実感した。
 市長が逃げ出すと、副市長も逃げ遅れては大変とばかりに次々に辞任していなくなってしまった。市議会は中田市長に参考人出席を求めたがあっさり拒否されたまま。結局、敵前逃亡(?)した市長、副市長に対して市議会は追求しないままうやむやになりそうだ。
 中田時代の間に、弛緩しっぱなしになっていた市役所はそのまま残っている。これからここで取り上げるのは、中田時代の残滓なのか、あるいはもっと根深い業なのか、自治体文化行政のいびつな断面である。


次々に起こる首を傾げる問題

 中田市長の逃亡でタガが緩んだためか、次々に市民が首を傾げるような不適切行政が明るみにではじめている。

《開港博 訴訟合戦に》(2010年3月12日朝日新聞)
 開港博は、主催の外郭団体・横浜開港150周年協会が入場500万人を予定したが4分の1以下の124万人しか達成できなかった。つまり市民からそっぽを向かれた。そのため巨額赤字をかかえたまま、次々に、150周年協会の杜撰さと醜態が明るみに出始めた。税金による赤字補填の目処も立っていない。
 入場券販売を委託した大手旅行代理店各社に対して「集客できなかったのは契約違反だから未払い代金を支払え」。対して旅行会社は各社とも「反訴して争う。500万人との触れ込みの4分の1も入場者がなく、そもそも当初の販売契約が無効」として争う方針という。 
 中田市長が逃亡したため、開港博Y150の総責任を迫られる外郭団体・横浜開港150周年協会は、開港博Y150の「不人気の原因は博報堂JVにもある」として企画・運営の外注先である大手広告代理店博報堂JVに対しても民事訴訟を起こす方針というが、これも代理店側は提訴されれば当然争う方針。
 訴訟は、市議会の責任追及をそらすためではないかとも言われている。訴訟費用は公費で役人の懐が痛むわけでないし、仮に敗訴してもそれまで少なくとも3、4年はかかるから、来年の市議会選挙が終われば新議員が古い話を追求することもなくなるだろう・・・との思惑からだと事情通はみている。

《開港150周年市民演劇「DO-RA-MA YOKOHAMA」の赤字を無給個人に請求か》 表題の市民演劇も約3000万円の赤字で終わった。市民演劇は無給の委員で構成する実行委員会に150周年協会が企画・運営を委託したが、その契約に赤字の場合の処理方法は一切記載がなく、また協議もされなかったという。協会は、開港博Y150全体が大赤字であるため、市民演劇の実行責任者個人(無給)に対し3000万円の赤字負担を求めるなど、これも迷走中だ。

《ヨコハマ国際映像祭は、入場者は目標12万人のわずか7%》
 横浜市(創造都市推進課)と天下り法人・(財)市芸術文化振興財団が主催した「ヨコハマ国際映像祭」、これもまったくの不入りで入場者は予定のわずか7%弱という有様。
 創造都市推進課は、市中心部で展開しているBankART1929の推進母体だが、これも掛け声ばかりで不入りは定着している。そんな映像祭への市の補助金はなんと1億2千万円。映像祭の主な内容といえば、BankARTの会場に液晶画面(モニター)を置き、モニターで映像と音を流しているだけというもの。
 鳴り物入りでアピールしたイベント例を紹介しよう。

《動物園にエイゾウがやってきた》サテライト会場野毛山動物園
 触れ込みは「動物たちを観察しながら、互いに会話をして楽しむことができるミュージアム。(略)日本人若手アーティストの作品展示」。
 さてその内容とは、空いている動物の檻の中にモニターを置き、壁をスプレー落書き風に色づけするアート??。かと思えば檻の動物の前で子供用ハモニカを鳴らして動物に聴かせる???などなど。児戯にも等しいお粗末なものばかりだった。それを報道陣、市と財団の幹部を集めて、むずかしそうに「現代アートは難解にみえるかもしれないが映像とは何かを問い直す、見応えのある作品」と解説してみせたりする。
 一歩身を引いて取材した眼には、単なるこけおどしにすぎず、感心してみせる幹部たちが「裸の王様」に見えた光景でもあったという。

《日本にはアートが必要 芸術系NPOが緊急フォーラム》
 政府の新年度予算編成の事業仕分けで日本芸術文化振興会関係も大幅にメスを入れられたことを受けて、さっそくアート事業者たちが横浜に集まって、補助金・助成金など公共事業予算獲得に気勢をあげた。会の中心が市(財)芸術文化振興財団専務理事加藤種男氏と盟友でNPOアートネットワーク・ジャパン会長市村作知雄氏。両氏がBankART1929、ST.スポット、急な坂スタジオなどヨコハマのアート事業とパフォーマンスの中心人物である。
 
 これら、いまヨコハマでくりかえされるイベント群に共通するのは、観客に見せる質・内容のお粗末さに対して能書きが誇大でおどろおどろしいということ。ダンスもパフォーマンスも技能以前のレベルだからそれをモダンだ、アートだと煙に巻くけれど、観客の目はごまかせないから不入りなのである。毎度くりかえされる十八番のキャッチフレーズ、
 ローカルからグローバルへ
 開港から未来へ
空疎さばかりが残っていく。  
 そして、一番確かな市民による評価=有料入場者数がなによりも雄弁にこれらアートやパフォーマンスの真実を物語っている。どれもこれも1割とか多くて3割という体たらくさだ。つまり、静岡空港や茨城空港の文化・アート版を繰り返しているのが横浜の実態ではないか。



横浜開港150周年記念事業とは何だったか

 小さなニュースレターが届いた。「横浜ふね劇場をつくる会」の会報(2010年1月)だ。それから転載させていただこう。

《開港150周年を360万市民が息をこらして待っていた横浜に、昨年何が残ったのでしょうか。
 開港50周年の明治42年には市歌・市章が制定され、現在国指定重要文化財となっている横浜市開港記念会館が市心部に建造されました。
 開港100周年の昭和33年にはマリンタワー、港の見える丘公園、横浜文化体育館が記念事業の一環として誕生しました。
 港や船 そして何よりも横浜に余り関わりのない「機械仕掛けのクモ」を150周年記念事業として挙げ巨額の税金や寄付金などを投じたと聞き、関係者の余りの無謀無策に落涙を禁じ得ません。》       
                        会長 中村 實

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