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07 Dec 2014 11:23

産経ニュース

【中高生のための国民の憲法講座】第74講 国家非常事態の法制整備は? 浜谷英博先生

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【中高生のための国民の憲法講座】
第74講 国家非常事態の法制整備は? 浜谷英博先生

国家の非常事態における法制整備の課題について考えてみましょう

 今回は国家の非常事態における自衛権行使と国民保護法について考えます。

 進まなかった議論

 日本の国防の基本政策の一つとして「専守防衛」があります。「専守防衛」の用語は、昭和45(1970)年に創刊された『防衛白書』で初めて登場しました。以来、防衛政策の基本理念として踏襲され、現在でも「憲法の下、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならない」(防衛白書)ことは、わが国防衛政策の基本的な方針です。

 専守防衛の方針は、少なくとも自衛隊の地理的活動範囲をも厳しく制約しています。つまり自衛権の行使は必ずしもわが国の領域に限定されないとしつつも、「武力行使の目的を持って」「他国の領土、領海、領空に派遣する」ことは、「憲法上許されない」(同)わけです。換言すれば、わが国が軍事紛争に巻き込まれた場合、自衛隊による自衛権行使は、原則として日本の領域内で発生した事象に対するものがほとんどとなるはずです。

 しかし人口密度の高いわが国では、国土であれば居住する住民が、海域であれば商船や漁船の乗組員など、必ず多数の日本国民が日常的に経済活動を営んでいます。つまり自衛隊の防衛出動により武力が行使される場合、まず当該領域内にいる一般国民の安全確保が優先され、避難誘導等が完了するまでは戦闘行動が取れません。自衛隊の戦闘訓練が、「住民の避難は完了した」との合図から始まるのはそのためです。そうであれば、国防の基本政策として「専守防衛」を唱えた以上、同時並行的に国民保護のための法制整備が必要であったはずです。

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