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14 Mar 2014 04:05
STAP論文 理研は疑問に正面から答えよ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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STAP論文 理研は疑問に正面から答えよ(3月12日付・読売社説)

 「STAP細胞」の作製に成功したという理化学研究所などの論文に、疑義が生じている。

 体の様々な細胞に変化する新たな万能細胞として、世界の注目を集めただけに、残念な事態である。

 理研は11日、「STAP細胞を作製した事実はある」と主張しつつ、一方で、論文の撤回を検討していることも明らかにした。まずは事実関係をきちんと説明し、疑問に答えねばならない。

 問題となっているのは、理研の小保方晴子ユニットリーダーら内外の14人の研究者が1月30日付の英科学誌「ネイチャー」に発表した2本のSTAP細胞論文だ。

 マウスのリンパ球を弱酸性液に浸し、強い刺激を与えるだけで作製できる点が画期的とされた。

 ところが10日になって、論文の著者の一人である若山照彦・山梨大教授が、小保方氏らに論文撤回を呼びかけた。STAP細胞の多能性を示す画像が、小保方氏の別の論文に使用した画像と酷似していることが判明したからだ。

 若山教授が「根幹にかかわる部分の信用性を疑わせる。論文が正しいか分からなくなった」と疑問を呈したのは、うなずける。

 STAP論文を巡っては、発表直後から、画像の加工や重複使用、記述の盗用などの疑いが専門家の間で指摘されていた。

 一度はネイチャー誌に却下された論文だっただけに、再投稿にあたっては、十分にデータを精査したのではなかったのか。

 論文への疑念に対する理研の対応にも、問題がある。画像の重複使用などについては当初、単純ミスとみなした。危機管理意識を欠いていると言わざるを得ない。

 現時点では、STAP細胞の作製に本当に成功したかどうかは判然としない。国内外の研究者がSTAP細胞の再現実験に挑んでいるものの、小保方氏が関係したグループ以外では、成功したケースがないのも事実である。

 山中伸弥・京都大教授がiPS細胞(人工多能性幹細胞)の作製に成功するなど、日本は万能細胞の研究で成果を上げてきた。再生医療と結びつくことで、成長産業としての期待が高まっている。

 今回の問題が日本の生命科学研究の信頼低下につながらないか、心配だ。下村文科相が、論文を撤回し、改めてデータを収集して疑義を払拭するよう求めたのも、そうした懸念からだろう。

 理研は近く調査結果をまとめる。日本を代表する研究機関としての対応が求められている。

2014年3月12日18時02分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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