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14 Dec 2011 08:09
施設被災、県測定後手に : 暮らしと放射線 : 企画・連載 : 宮城 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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施設被災、県測定後手に

放射線検査のため、東北大には多くの自治体から野菜や魚などのサンプルが送られてくる(5日、東北大サイクロトロン・ラジオアイソトープセンターで)=高倉正樹撮影

 「調査は、やらないほうがいい。やっても余計に騒がれるだけだ」

 福島第一原発の爆発事故から間もない3月23日。県産農産物の放射線調査を実施するかどうかを巡り、県幹部はそうつぶやいた。

 これに先立つ同月17日、厚生労働省は、食品衛生法に基づき、全都道府県に対し、食品の調査を要請していた。その日のうちに調査に乗り出した茨城県では、ホウレンソウから規制値を超える放射性物質が検出された。群馬、栃木両県でも検出され、出荷が制限されたが、本県の動きは鈍かった。

 しかし、厚労省から宮城を含む福島周辺の9県が名指しで検査を求められると、村井知事は同月25日、野菜や原乳、水道水の測定を始めると発表した。

 学校プールの水質調査でも、対応は後手に回った。

 県教委が調査を実施するかどうか態度を決めかねていた6月6日、仙台市教委は市内のプールの水質調査の実施と、結果が出るまで使用を中止することを決めた。その後、県には「なぜ県は調べないのか」との批判が殺到。すると、1週間後の13日になって県内全域の小中高校プールの調査を決めた。

 農水産物や原乳の調査でも、県は当初、2週に1回の頻度で調査を行い、厚労省が示した「週1回程度」に増やしたのは、6月6日になってからだった。

 なぜ県庁の動きは鈍かったのか。県内で唯一、本格的な測定機器を保有する女川町の「原子力センター」が津波で被災し、使用不能になったのが大きかった。沿岸被災地の支援に人手が割かれ、放射線対策に手が回らなかった面もある。小泉保環境生活部長は「当初は混乱して、とても迅速に動ける状況ではなかった」と振り返る。

 県の動きの鈍さに、市町村側もいらだつ。丸森町は3月中旬、放射線測定を県に繰り返し求めたが、なかなか対応してもらえなかった。業を煮やした同町が、東京の公益財団法人に要望したところ、5月になって測定器が送られてきた。

 すると、県の担当者から「どうやって測定器を借りたのか」と電話がかかってきたという。「これでは立場がまるで反対だ」と町幹部はあきれる。

 県は6月29日になってようやく、簡易型測定器を全市町村に配布すると発表した。対応の遅さを指摘する報道陣に、村井知事は「心配するのはもっともだが、ヒステリックになる必要はない。遅いという指摘はあたらない」と釈明した。

 食品安全委員会の専門調査会委員で、全国消費者団体連絡会(東京)の阿南久(ひさ)事務局長は「行政が速やかに情報を開示する姿勢を行政が持っているか、住民はシビアに見ている。できないならできない、と丁寧に説明すべきで、県の対応は不十分な面もあった」と指摘する。

2011年7月8日  読売新聞)
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