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30 Aug 2014 03:15

どうしんウェブ 北海道新聞

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社説

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札幌市長選 まず上田市政の検証を

(08/30)

 札幌市の上田文雄市長がきのう、来年春の市長選に出馬しない考えを正式に表明した。道知事選へのくら替えも否定した。

 市長選には前回選挙に引き続き元総務官僚の本間奈々氏がすでに出馬を表明している。秋元克広副市長の立候補も取り沙汰されている。今後は2氏を軸にした動きが本格化するだろう。

 道民の3分の1が集中する札幌市のかじ取りは北海道全体に波及する。それだけにポスト上田をうかがう各氏には札幌の将来を見据えた骨太のビジョンを求めたい。

 それに欠かせないのは、上田市政3期の検証である。

 時計の針を11年前に戻したい。

 上田氏は44年ぶりの民間出身市長として登場した。弁護士時代から市民運動に関わった経験を元に、市民目線を重視し、閉鎖性やなれ合いが問題となっていた市役所の改革を目指した。

 無駄を排し、2003年度に2兆円あまりあった市の借金を14年度末までに4500億円強を圧縮するめどを付けた。財政再建は前進したと言っていい。

 09年からの家庭ごみ収集の有料化には反対もあったが、結果的には廃棄物の減量につなげた。

 一方、金看板である市民の市政参加を進める「市民自治」の確立は道半ばの感が拭えない。

 地域活動の拠点となるべき「まちづくりセンター」を設置したものの、地域住民による自主的な運営というには程遠い。

 市役所改革も入札不正など職員の不祥事が相次いでいるのを考えれば、かけ声倒れと言われても仕方あるまい。

 何より、社会保障と表裏一体にある少子高齢化への解決策をまだ見いだせたとは言えない状況だ。さまざまな子育て支援策を打ち出したが、出生率は低いままだ。

 時代の変化もあって、課題はむしろ増えている。

 上田氏は「仕事は10年ぐらいが一つの区切り」と言ってきた。トップの多選は行政の腐敗を招きかねない。その信念はうなずける。

 4選不出馬には、力を入れてきた施策に一定の方向性をつけたとの判断があるようだが、任期はまだ半年以上残っている。

 自らが積極姿勢を見せていた冬季五輪招致の判断など、重要なテーマにどう決着をつけるのか。手を緩めているいとまはない。

 こうした札幌市の課題を乗り越える青写真とそこに至る具体的な道筋―。市長選に出馬するなら、その提示が欠かせない。

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