「ノーベル賞級の大発見」と賞賛された小保方晴子さんの「STAP細胞論文」が急転直下、非難に晒されている。論文を掲載した英科学誌『ネイチャー』が17日、“捏造疑惑”について調査中であることを表明したことから、鬼の首を取ったような小保方バッシングが巻き起こっている。だが、冷静に論文を精査すれば、ごく些細な問題でしかないことがわかる。批判の大合唱の背後には何があるのか。全国紙科学部記者がいう。
「論文に対する異議はよくあること。より良い研究に発展させるために外部の人間が意見をするのは科学研究の常です。だから小保方さんの杜撰な画像管理は、批判されて然るべきです。
しかし、そうした批判は実名だからこそ意味がある。ネット上で匿名の自称科学者が跋扈し、鬼の首を取ったかのように彼女を責めているが、彼らはロクに論文も読まずに批判を拡散している。この流れを、不見識なメディアも後押ししてしまっている」
もっとも、これだけの騒動に発展した背景には、一定の“アンチ小保方勢力”の存在が見え隠れする。再生医療の分野には、出身学部を異にするグループが存在する。大きく分けると「医学部出身の研究者」と「それ以外(理学部、農学部、工学部出身など)」だ。ある医療関係者の話。
「医学部出身者の中には、遺伝子や細胞の分野とはいえ、人体を扱う医療分野で医学部出身者以外が実績を上げることを面白くないと感じている人は少なくない」
ちなみに小保方さんは早稲田大理工学部出身で、共同研究者の山梨大学教授、若山照彦氏は茨城大農学部出身だ。
しかもこのところ、医学部出身のグループは肩身の狭い思いをしている。昨年から医薬業界を揺るがせている、いわゆる「ノバルティス問題」である。
世界有数の製薬会社『ノバルティスファーマ』(以下、ノバルティス)が販売していた降圧剤は、複数の大学医学部の論文結果を用いて「脳卒中や狭心症にも効果がある」と謳っていたのだが、それが虚偽だった。ノバルティスに都合のいい研究結果をデッチ上げた研究室には、ノバルティスから累計11億円あまりの金銭的支援が流れ込んでいた。
「そのような状況なので、とくに医学部系の論文は怪しい目で見られている。そんな彼らにとって、小保方さんの“疑惑”は好材料だったんでしょう。“論文の捏造は医学部系だけではない”と意趣返しのように小保方批判に火をつけている人たちがいるのではないか」(前出の医療関係者)
いま、再生医療分野においては、医薬品や新技術の土台となる論文は「カネに直結する」といわれている。アベノミクスの成長戦略の中核に医療があるが、その中で最注目されているのが再生医療なのだ。
政府は2013年度から10年間で、再生医療に対し約1100億円もの支援を決めている。今、この支援金を巡って、各研究機関で争奪戦が行なわれているという。
「早速、2014年度、iPS細胞研究に政府から150億円の支援が下りることが決まっています。そのほとんどが山中伸弥教授のいる京大の研究所に払われる。再生医療で結果を出せば、莫大な研究費が入るわけです。もし、STAP細胞が認められれば、理研や小保方さんグループに大量の研究費が投入されることになり、その分他の研究機関に回らなくなる。それを阻止する動きがあってもおかしくない」(同前)
小保方さんの論文にケチがつくことによって得をする勢力があるとしたら、実に生臭い話である。
※週刊ポスト2014年3月7日号
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