「STAP(スタップ)細胞」の論文に疑問が指摘されている問題で、理化学研究所は1日、筆頭筆者の小保方(おぼかた)晴子ユニットリーダーに「研究不正行為があった」とする最終調査報告を公表した。研究の根幹をなす画像に「捏造(ねつぞう)」があったと認定した。共著者については不正はなかったとしたが、チェック機能が働かず「責任は重大」とした。

 STAP細胞は、体の細胞を弱酸性の液体で刺激するだけで、どんな細胞にもなれる万能細胞に変化するとされた。

 論文は、理研発生・再生科学総合研究センター(CDB)の小保方氏や米ハーバード大のチャールズ・バカンティ教授らが1月末、英科学誌ネイチャーに発表した。しかし、論文の画像が不自然であるなどの問題を指摘され、理研は2月中旬、調査委員会(委員長=石井俊輔・理研上席研究員)を設置。小保方氏やCDBの笹井芳樹副センター長、丹羽仁史プロジェクトリーダー、山梨大の若山照彦教授から話を聴き、論文のもととなるデータ、実験ノート、メールなどを検証した。

 最終報告書では、3月14日の中間報告では判断を保留していた4項目について判断を示した。

 研究の根幹となる万能性を示す画像が、3年前に書かれた博士論文中の別の実験で得られたものと酷似した画像から使われたことは、データの信頼性を根本から壊すものであり、危険性を認識しながらなされたと言わざるを得ないことから捏造と認定した。

 笹井氏と若山氏については、捏造には関与していないが、置かれた立場からして研究不正を招いたことの責任は重大とした。

 遺伝子解析の画像の結果を切り張りして加工したことについては、「きれいに見せる図を作製したい」という目的をもって行われたとして「改ざん」とした。笹井、丹羽、若山の3氏は論文投稿前に改ざんされた画像を示されたことから、研究不正はなかったと判断した。

 文部科学省のガイドラインでは、存在しないデータをでっちあげる「捏造」、データを都合のよいように書き換える「改ざん」、他人の論文から文章などを無断で引き写す「盗用」の三つを研究の不正行為と定義している。

 一方、実験手法の記述の一部が海外の論文と酷似していたことや、実際の手順と異なる実験手法の記載については、実験は実施されており、意図的ではないなどとして、不正行為ではないとした。

 検証にあたっては、実験ノートの記述があまりにも不足しているなど、第三者が小保方氏の実験内容を正確に追跡し理解することが困難だったという。「研究者倫理とともに科学に対する誠実さ・謙虚さの欠如が存在する」と断じた。

 STAP細胞が存在するかについて石井委員長は「調査委員会のミッションを超える」とだけ述べ、判断を示さなかった。STAP細胞が実在するかを検証する再現実験を理研内部で進めている。(今直也)