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14 Nov 2014 06:13

産経ニュース

【検証 長野市長就任1年】(上) 市役所に民間感覚を導入

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【検証 長野市長就任1年】
(上) 市役所に民間感覚を導入

 長野市の加藤久雄市長が昨年11月に就任してから、10日で1年を迎えた。加藤市長は民間企業のトップや長野商工会議所会頭を務めた経験を生かし、民間感覚を市政運営に導入。就任時から市政の課題として挙がっていた大規模プロジェクト事業の見直しや中山間地対策、子育て支援などに着手し、前進したものもあるが、今後の懸案はまだ山積している。県都・長野市の命運を握る北陸新幹線金沢延伸開業と善光寺御開帳を来春に控え、2年目に突入する加藤市政の現状と課題を探る。(三宅真太郎)

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 ◆「市民はお客さま」

 「『いらっしゃいませ』、『こんにちは』と大きな声であいさつしてくれて気持ちいい」。長野市役所を訪れた同市諏訪町の主婦(77)はそう感想を語った。市内に住み始めて10年になるというが、「加藤市長になってからの1年で、市役所の雰囲気が明るくなった」と評価する。

 加藤市長は就任直後から、「市民はお客さまプロジェクト」を開始。「市民はお客さま」と職員に説き、あいさつの励行や身だしなみの徹底を図り、職員の意識改革を行ってきた。加藤市長は4日の記者会見で、就任1年の自己評価を問われ、「全ては人間関係から始まるという気持ちでやってきた」と述べるとともに、職員の意識改革については「80点は与えられる」と評価。今後については「失敗を恐れず前向きに取り組む姿勢ができてくれば100点になる」との期待を示した。ホテル事業も手掛けた民間感覚が市役所内に浸透しつつある。

 ◆現場主義

 徹底した現場主義も、加藤市長の民間感覚の一例だ。就任直後、まず大規模プロジェクトの現地を視察して検証、見直しを行った。

 現在の市役所第1庁舎の解体後の跡地に建設する予定だった立体駐車場については、費用や景観面を考慮し計画を見直すよう指示。平面化することで整備費用を当初予定の約11億円の半分程度に抑えた。

 また、南長野運動公園総合球技場は、国際試合の開催要件を満たすよう、立ち見席をなくして全席をいす席とするよう計画を変更。予算は約3千万円の増額となったが、現場を直接見た上での将来を見据えた決断だった。市の幹部の一人は「テレビのニュースや新聞紙面に、市長が登場する機会が多くなったという実感がある。それも率先した現場主義の表れなんだろう」と話す。

 ◆「保守」の立場

 加藤市長のもう一つの特徴は就任以来、「保守」の立場から政治姿勢を明確にしてきたことだ。昨年末に安倍晋三首相が靖国神社を参拝したときは、記者会見で見解を問われ、「どの国家においても、自国の英霊に対して感謝をささげるのは当たり前。非常に英断であったと評価している」と明言した。

 今年8月に、松代大本営象山地下壕(ごう)の入り口の説明板で、朝鮮人労働者らが作業に加わった経緯について「強制的に」と記していた部分を同市がテープを貼って削除していたことが報道され問題化した際も、記者会見で一貫して「全てが強制的だったとはいえない。客観的事実を伝える」との考えを表明。庁内で検討を重ねた結果、10月に労働者動員の強制性については「さまざまな見解がある」などとした新表記を決定した。

 戦後、革新・リベラル色が強いとされてきた県内政治情勢だが、安倍政権発足に伴って保守化の流れが強まりつつある。加藤市長は県都・長野市からそれを主導しようとしている。