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10 Oct 2012 14:07
炎上覚悟! の「マニュスクリプト」社長インタビュー

あの「カレログ」運営会社が懲りずに恋愛アプリを開発!

2012.10.10

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新たな炎が上がる!? (「カレピコ」HPより)
 GPS機能を利用して彼氏の行動を監視するアプリとして2011年8月にリリースされ、大炎上を起こした「カレログ」が10月10日にサービスを終了した。それと同時に「パワーアップ版」としてリリースされるのが、近づいてほしくない地域をユーザーが登録し、そこにパートナーが近づくとスマートフォンに通知される機能をウリにした恋愛情報共有アプリ「カレピコ」だ。

「カレログ」は「本人の同意なく無断インストールされる可能性がある」などとして批判が集中。総務省も問題視したほか、セキュリティソフトメーカーのマカフィーがウイルスとして認定したという経緯もある。騒動は大きく報道され、「そもそも気持ち悪いサービス」「プライバシーの侵害だ」などと炎上が拡大した。

 一方、「カレピコ」は「カレピコエリア」を設定し、そこに近づくと相手に通知される機能や、現在の居場所を知らせてくれる「今どこCall♪」のほか、記念日を教えてくれる機能も実装。「カレピコエリア」に近所のスーパーを登録しておけば買い物を頼むことができるし、自宅の最寄り駅に設定しておけば、彼の帰宅に合わせて御飯の準備できるなど、さまざまな使い方が提案されている。浮気を防止しようと思えば、ホテル街や彼氏の元カノの家を登録しておくと、効果がありそうだ。

 問題ばかりが指摘された「カレログ」が終了することは分かるが、懲りずに新バージョンをリリースする運営元「マニュスクリプト」の真意はどこにあるのか。取締役の三浦義則氏を直撃した。

「カレピコ」は過ちを事前に防止するツール

――まず、なぜ「カレログ」を終了して、「カレピコ」をリリースしたのか、理由をお聞かせください。

三浦 「カレログ」の目的は恋愛の支援でしたが、行動のログを取るだけでは本当の支援にならないと感じたからです。例えばログを確認して恋人が怪しい場所に寄っていたとしたら、当然、浮気の可能性を疑いますよね。しかし、実際に浮気をしていたとしても、それはすでに起こってしまったことです。過去のことを責めるためのツールではなく、これから起こることを未然に防ぐツールの方が未来志向でよっぽど有意義であり、それが「カレピコ」なら実現できると思っています。

 また、「カレログ」ではログをパソコンで確認するので、リアルタイム性に欠けるという弱点がありました。その点、「カレピコ」では登録した場所に近づいたことをスマートフォンで瞬時にチェックできます。子どもの見守りなどにも使ってもらえたらいいですね。

――「カレログ」の存在は、社会に大きな波紋を広げ、たくさんの批判を受けました。それでも懲りずに位置情報を利用した恋愛支援アプリを開発し続ける理由は、なんなんでしょうか?

三浦 まず前提として言えることは、スマートフォンの普及と共に位置情報サービスの重要性は増していますが、例えば私が中野にいることを誰かが知ったとしても、私がなに者で、なぜそこにいるのか、その場所と私を結び付ける情報がなければ、まったく価値はないということ。位置情報は当事者同士の関係性が近くなればなるほど、必要性が高いクリティカルなデータになるんです。そんな考えのもと、恋人や家族同士がお互いの位置情報を知ることに対してニーズがあるんじゃないかと考え、リリースしたのが「カレログ」でした。

 ちなみに、我々がユーザーの位置情報を取得し、なにか良からぬことを企んでいるんじゃないかという叩かれ方もしましたが、ユーザーがアプリをダウンロードしたときに「Google Play」などから提供される購買データ(ユーザーの端末キャリアや使用機種)くらいしか、情報を取得していません。先ほど申したとおり、我々が個人情報と結びついていないユーザーの位置情報をチェックしたところで、マーケティング上は、まったく無価値です。「カレログ」のマスデータを活用したいという企業からの問い合わせもありましたが、もちろん断りました。

叩かれてもいい? “劇薬”こそが面白いコンテンツ

――緊密な関係同士で位置情報を共有することに可能性を感じたというわけですね。一方、恋愛支援としては、どのような理念があるのでしょうか?

三浦 今は恋人同士で「LINE禁止」のルールを設けているケースもあると聞いています。多くの人と繋がれることに対して「出会いのツールになるのではないか?」という恐怖心があるからでしょう。一方、「カレピコ」は最高でも10人とまでしか共有できなくなっていて、本当に大切な人と、位置情報や誕生日、記念日といったクリティカルな情報を共有できるサービスです。大きなマス向けの仕掛けはTwitterやFacebookがやればいいと思うので、我々は個人にとって大切な情報をクローズな場所で共有できるサービスを提供していこうと考えています。

 つまり、あえて多くの人と繋がらず、大事な情報を緊密に交換することの意味を模索していきたいということです。そういう場で共有すべき情報は他にどういうものがあるのか、これからも考えていきたいと思っています。

――なるほど、仰っていることはよく分かります。ただ、「カレログ」には、「そもそも、恋人を監視する発想自体が気持ち悪い」という拒否反応もありました。

三浦 そういう倫理観に踏み込んでいることも、叩かれてしまった原因だとは十分に自覚しています。ある意味、死刑制度みたいなもので、その存在自体が許せないと考える人は、必ずいるでしょう。ただ、毒にも薬にもならないコンテンツを開発しても面白くありません。例えばエヴァンゲリオンだって、今でこそ社会性を持った作品だとされていますが、当時は一部の視聴者から嫌悪感を抱かれるなど、賛否両論がありました。我々も劇薬だけれども、人によっては効果があったり、救いになったりするコンテンツを作っていきたいと思っています。

――すでに「カレピコ」は「新サービスも酷すぎ」「プライバシーの問題もあるしさっさと終われ」などと、ネットで叩かれはじめているようです。これを聞いて、社長は心が折れないですか?

三浦 いろいろな意見があることは分かっています。でも、使い方も含めて議論になり、サービスがより洗練されていく。だから、叩かれてもいいんです。「カレログ」は終了時点で約2万5000人のユーザーがいたのですが、一連の騒動中に登録したのは1万人ほど。残りの1万5000人は、その後にじわじわと増えていったユーザーです。

 一方、ご指摘のとおり、ネット上では肯定的な意見がほとんどありません。でも、そうやって批判の対象になり、結果的に多くの人に知られることによって本当に必要としている人に届くという側面もあります。こういう言い方をすると、「炎上マーケティングだ」と、また批判されてしまいそうですが(苦笑)

テクノロジーが可能にしてしまった恋愛の未来

――あの騒動の後にユーザーが増えていたとは、意外でした。やはり潜在的なニーズがあったということでしょうか?

三浦 「カレログ」については女性からの問い合わせが多く、「使い方を教えてほしい」と切実に訴えてくる女性もいました。そもそも「カレログ」や「カレピコ」がなくても、彼氏を監視しようと思えばいくらでもやりようがあります。極端な話、探偵を雇えば済むことですから。それがテクノロジーを利用すれば簡単にできるようになり「カレログ」というかたちで実現してしまったわけですが、テクノロジーをパーソナルなことに利用することに対して、向き合わければならないタイミングは今後、絶対に出てくるでしょう。

 個人の位置情報を取ることは、テクノロジー的にはいくらでも可能になっているし、発想次第では恋愛関係にも利用できる。その事実に、どう向き合って信頼関係を築いていくか。私たちがやらなくても、このことは、いつか議論の対象になるはずだと思います。

—―最後に「カレピコ」で実現したいことを教えてください。

三浦 先程から申し上げているとおり、使い方を含めて議論の対象になってほしいと思います。皆さんのご意見を生かし、反省すべきところは反省してサービスをより良いものにしていきたいです。個人的には、ドロドロした恋愛関係において使用されるよりは、縛られていたりすること自体がパロディになるような、遊び感覚の使われ方をする方が面白いと思っています。「実は俺、彼女に監視されているんだ」と、ネタ的な形で使われるようになれると楽しいですね。
(構成=宮崎智之/プレスラボ)

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